自家中毒

たわごと置場。感想及び記録

人物の書き込みの密度について

メインキャラの初めての登場のさせ方というのはとても大事。
それがどんなキャラなのかというイメージ想起を視聴者にさせなければならない。
(そのイメージを後々裏切るプランだろうと、何にせよ印象が薄かったり、他のキャラと画一的ではだめなのです)

で、大河ドラマ麒麟がくる」の藤吉郎(もちろん後の豊臣秀吉で、今回の主人公・明智光秀に最後に立ちはだかる予定の人物)の記念すべき初登場シーンでいえば。(12話)

1)男の東庵先生は無視で駒ちゃんとだけ話をする→女好きそう
2)売り物として背負っているのが穴の開いた瓢箪とかガラクタばっかり→でも口八丁で売りつけて銭を稼いでいそう
3)売り物の荷をぞんざいに下ろす→この商売に対して思い入れは全然なさそう
4)出世のためにも文字を学ぶという行動+「一旗揚げる」という台詞→野心家そう
5)字が読めない→武士とかではなく貧しい出らしい ※ほとんどの人は前提として知っていることかもしれないけど、たとえ知らない人にでも想像できるの大事
6)でも書いてある内容はすぐ理解する→頭はよさそう
7)尾張の世情、今川家の政治的意図、一帯の勢力関係を把握している→情報力が高そう+情報からの判断力も高そう
8)初対面の相手とも距離をつめてしまう話術と人好きのする見た目→愛嬌と人懐こさがありそう
9)「猿」の姿と鳴き声→将来の提示(ちょっとあざといとも思いましたが)

という情報を数分のうちに提示し(読解力が高い人はもっと情報を読み取っているかも)、人物像と「こいつはただ者ではないぞ」という印象を植え付けてくれる。
それをやってのける、脚本/役者/小道具や衣装 が凄いな~と感服してしまったので覚書として記した次第です。

逆に、これ位できているのが良作といわれる作品では当たり前なのかもしれない。
視聴者が見えるところに公正に提示される情報量が多い作品。(知識がなくても感じ取れる類の情報といいますか)
とすると、そんなドラマを毎週観られる視聴者は幸福です。

14話では、藤吉郎さんの
10)地に這うときの表情→恨みや憎しみをパワーに変えるタイプ+恨みはずっと忘れないタイプそう
という人物像も提示されてきたようなので今度が楽しみです。

ちなみに、14話では深芳野さんがああいう最期となってしまいましたが、ずっと精神的に「不安定」そうな人だなあと印象を抱いてきたので、すんなり納得してしまいました。
当初からちゃんと匂わせてきた演出プランと演技プランが素晴らしいですよね。

 

視線で人が殺せるタイプ